遺品整理とお洋服

ハンガーにかけられたたくさんの洋服

都会の夏の空暖かいよりも暑い日々

 まだ4月だというのにすでに20度を超える日が連発していますね。

 さすがに作業中も汗が止めどなく流れてくる日も増えてきました。

 冬場に少し太ってしまった体にはちょうど良いのかもしれませんが、これから夏に向けてどんどん体が細くなっていきそうです。あくまで予定の話ですが・・・。

考える男女この時期は遺品整理のお悩みを多く伺います。

 さて、ここ最近はありがたいことに遺品整理作業をほぼ毎日と言っていいほどさせていただいています。

 戸建てやアパートの一室などなど、様々な立地条件の中お仕事をさせていただいています。

 もちろん戸建ての場合はその部屋数の多さから、遺品の量は一人暮らしのワンルームなどとは比べ物にならないほどあります。

 それらをすべて仕分けし、梱包、搬出するまでには最低2日はかかるお仕事になります。

 もちろんケースによっては3日、ハウスクリーニングまでご依頼いただいた場合4日、5日の作業となるので、必然的に一つの現場に月から金まで張り付けなんてことも十分にあり得るのがこのお仕事。

 しかし、最後家の中が空っぽになり、清掃をしてピカピカになったときの達成感や充実感。

 何とも言えない喜びがあるんですね。これもまたこの仕事をしていてうれしくなる瞬間なのかもしれません。

遺品整理をしていると・・。

ハンガーにかけられたTシャツたくさんの洋服たち

 今回のタイトルを「遺品整理と洋服」とさせていただきました。

 もちろん我々日本人、生きていれば洋服を身に付ける。

 遺品整理をしているとケースとして衣類が多量にでてくる場面に何度も遭遇します。

 さらに言えば遺品整理をご依頼される家屋の半分以上が古民家で、収納スペースがあまりないからか、タンスの数も通常よりも多い、なんてことも少なくありません。

 もちろんタンスをリサイクルするにも中の衣類等はすべて整理する必要があるので丁寧に仕分けさせていただくのですが、これも量が多ければ立派な1日仕事。

 以前お世話になったお部屋では初日1日を丸々洋服の整理に費やしたほどです。

荷造りをする男性スタッフいつも初心で。

 洋服の整理は丁寧にやりたいという思いがあります。

 もちろんその他の遺品との優劣はつけられませんが、やはり故人様の一番近くにあったもの。

 大切にしないわけにはいかない。

 これはご遺族様から教えていただいたことですが、故人様は昔気質の方だったそうで、物を捨てたりすることをあまり好まなかったといいます。

 何でも大切に保管し、整理整頓されていたようです。

 実際、タンスの中にあった衣類もほとんどの物がクリーニングされており、さらには着物や洋服、肌着等々、そのすべてがカテゴリ別にすべて分けられていました。

 特に着物などは小物などもすべてそろえて整理されており、その様子から故人様の性格が見て取れました。

 もちろん整理整頓がされていれば私たちの作業は半分で済みます。タンスから衣類を取り出しては梱包し、おおよそ数百着の衣類を整理させていただきました。

 これまでも大きなクローゼットに洋服がたくさんあるお部屋の整理等もさせていただいたことがありますが、そんな洋服の手入れひとつから故人様の想いが伝わってくるような気がしてなりません。

古いカメラとアルバム遺品から故人の人柄を読み解く。

 個人的にはあまり洋服等に興味がなく、着られればなんでもいいかな?と少々ファッションに関して無頓着な部分があるのですが、やはり何でも好きなものは大切に保管しておきたい、という思いがそこにはあるのでしょう。

 だからこそ最後の砦の仕分けがいい加減ではやはり故人様に会わせる顔がないな、とも思うわけです。

 以前遺品整理をしているなかで1冊のアルバムが洋服ダンスより出てきたことがありました。

 アルバムや手紙などはたとえご依頼者様がすべて処分して良いとおっしゃった場合でも、もう一度確認するようにしています。

 たまたま開いたアルバムに写っておられた方が着ていた服を今まさに整理したところだったのです。どこか旅行へ行かれた際の写真だったのでしょうか。

 素敵な笑顔にその洋服が一層輝いて見えました。

 今まさに整理した洋服も今でこそタンスの中で眠っていましたが、当時はきっといろいろな土地のいろいろな空気に触れてきたのでしょう。

 そう思うと故人様だけでなく洋服にも「お疲れ様」とその役目の終わりを労いたくなるものです。

 スリーエスでは洋服や衣類はリサイクルの方向で作業させていただいております。

 どこかで誰かがまた袖を通す機会もあるかもしれませんし、はたまた繊維を加工して何か生活や仕事の役に立つこともあるかもしれません。遺品にはそれぞれの未来があるのです。

 主が亡くなって一見その役目が終わったように思われがちですが、場所を変え、形を変えまた新たな環境でそのポテンシャルを十分に発揮できる時があるのかもしれません。

 その中継役に今自分がいることが何だか不思議な気持ちですが、奉仕する大切さをこの年になって噛みしめています。

白い菊の花・仏花遺品整理から見える仕事のやりがい。

 昔、学校の先生から「人の役に立てるような人間になりなさい」と言われたことがありました。

 幼少期から特段優等生でもなく、かといって素行不良でもなく、平凡な学生生活を送ってきた自分にとって「人の役にたてることなんてあるのかな~」と当時は気楽に考えていたが、今自分のしている仕事が少なからず誰かの役に立っているとしたら当時疑問に思っていた自分に教えてあげたいと思います。

 まずは自分のために一生懸命がんばれ、と。

 自分のために一生懸命やっていることが周り周って誰かのためになる。その繰り返しが社会なのだと今遺品整理や特殊清掃と言う仕事を通じて痛感している次第です。

 それがたとえ亡くなった方の洋服をたたむ仕事であったとしても、それは立派な奉仕なのだと思います。

 作業後に遺族の方々から「自分たちでも整理しようと試みましたが、何から手を付けてよいかわからず途方に暮れていたところ、スリーエスさんは2日ですべて整理してくれた、さすがです。」とのお言葉をいただいたこと。

 遺品整理とは家一軒まるごとのお片付けです。

 ある日突然気が向いたからといって数時間で終わるような作業ではないのが現状です。

 何度もそのような現場を経験し、まずは何から仕分けをし、梱包・搬出と言ったノウハウがなければ決して数日で終わるような作業でもないことはやっている自分が一番よく分かっています。

 だからこそ困っている人に手を差し伸べることができるのだとも思います。それこそが正に付加価値のついたサービスといえるのではないでしょうか。

 あなたの家に洋服はたくさんありますか?

 できるだけたくさん着て、写真を撮ってあげてください。

 何も自分が天国へ行くときのために処分をする必要はありません。

 大切に保管しておいてもよいのです。なぜなら、私たちのような遺品整理士が世の中にはたくさんいるのだから。

 もし何かご縁があった際には精いっぱいお手伝いさせていただければこの上ない幸せです。